タイトル : AGNと銀河のクラスタリング度の測定 概要 : 銀河中心に存在する超大質量ブラックホールは、銀河同士の 衝突・合体が繰り返されることにより成長してきたと考えら れている。このシナリオにもつづくと、銀河が密集して存在 している領域では超大質量ブラックホールは活発に形成され、 それらは AGN 等のような天体として観測される。 このシナリオを検証するために、AGN 周辺の銀河数密度を測 定し、AGN が高密度領域で発生しているのかを確認する。そ のために、既知の AGN の座標を VO を利用して取得し、その 周辺銀河のカタログデータまたは画像データを取得し AGN と 銀河の相互相関係数を求める。 銀河までの距離は測定されていないので、視線方向に積分され た銀河分布から相互相関係数を求める必要がある。多数の AGNについてその周辺銀河分布を足しあわせることにより、AGN とは相関のない背景銀河による影響を低減させることができ、 銀河のクラスタリングを検出することができる。 こうして求めた平均化された周辺銀河分布からAGNと銀河の 相互相関係数をもとめ、ダークマターハローのクラスタリング に対するバイアスパラメータを求めることにより、AGN が存 在するダークマターハローのの質量を求める。 実行環境 : あらかじめ配布される VMWare image にインストールされてい る Linux (CentOS) を利用して実施する。 VMWare Player 等を自分の PC にインストールしておく必要が ある。 利用するデータ、ソフトウエア、プログラミング言語 : 利用するデータは QSO/AGN カタログ (Veron et al 2010), UKIDSS カタログ、Suprime-Cam 画像。 データ取得は JVO portal の検索インターフェイスまたは、 jc コマンドによるコマンドラインプログラムの実行により 行う。 データ取得後はローカル計算機上でデータ処理を行う。 シェルスクリプトを利用したデータ処理について説明を行う。 サンプルスクリプトが提供されるが、自分で書けることを 目的とする。 プロットやフィッティングは cern ライブラリの root を 利用する。 距離計算ツール、銀河の光度関数モデル、ヒストグラムを 作成するプログラム等は jvo toolkit として提供される。 実施手順 1. データ検索 AGN の座標、赤方偏移、明るさのデータを取得する。 AGN の周辺銀河のデータ、あるいは画像データを取得する。 複数の取得方法を試す。 1-1. JVO ポータルの JVOQL 検索画面より検索する 1-2. jc コマンドを利用して同様の検索を行う。 1-3. Single サービスサーチと VOTable Viewer の Add Column 機能を利用してデータを取得する。 2. データ取得と解析の自動化スクリプトを作成し実行 1. で取得した AGN のパラメータをもとに、AGN を赤方偏 移、絶対等級でグループ分けする。 個々の AGN について、データ取得、銀河分布のヒストグ ラムを作成し、グループ毎にヒストグラムを足しあわせる スクリプトを作成。 作成するヒストグラムは AGN からの投影共動距離に対する 天体数分布である。AGN からの離角を投影共動距離へ変換 するプログラムを利用する。ヒストグラムを作成するプログ ラムは jvo toolkit に含まれている。 3. 相互相関距離を求める。 個々の AGN について、その赤方偏移において検出できる 銀河の数密度を計算する。銀河の光度関数を計算すうプログ ラムが jvo toolkit に含まれているのでそれを利用する。 AGN のグループ毎にヒストグラムを足し合わせ、そのグルー プにおける銀河の平均数密度を求める。ヒストグラムに対し てモデルフィットを行うことにより、相互相関距離を求める。 モデルフィットは root を利用。 4. ダークマターハローの質量を計算 理論モデルをもとに、バイアスパラメータを求め、それから ダークマターハローの質量を推定する。